受け月 (文春文庫)
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この商品の感想
これからは本当に楽しい野球をやろう
若い時は甲子園に出たり都市野球で活躍したり、ずいぶん栄光に満ちた時代があった。しかし今は仕事が思うようにいかなかったり、妻や子供ともぎくしゃくしている。過去の栄光もすっかり忘れてしまった。
そんな折、ふとしたことで野球に再会する。もう2度とやることはないと思っていたのに・・。やっているうちに過去の野球は自己顕示にとらわれたつまらない野球だったと気づかされる。そうだ、これからは本当に楽しい野球をやろう。技術や体力の問題ではない。今までの人生も長かったがこれからの人生も長いだろう。
全編を通して読んでみるとだいたいこんな感じかなあ。
祈るということ
人間が創作していくものは、基本的に信仰に支えられていると思う。
そのことをちゃんと知っている「大人」が書いた小説。
読む年齢によって、違う感動を得られる、とてもよい短編集です。
個人的には本の最初に入っている、「夕空晴れて」が好きです。
夫と死に別れて、小学生の息子と二人で暮らす母親に
少年野球の監督が語るセリフがあります。
「‥自分のためだけに野球をしない人間になればいいと思ってます」
ぜひ最初から読んでこのセリフにたどり着いて欲しいです。
僕はとても感動しました。
あなたはどうですか?
また、野球という、ここ40年、日本の最大の華であったスポーツの美しい葬送が
描かれています。10年以上たった今、それがさらに染みます(笑)
好き嫌いが分かれそう
本短編集はすべて野球をモチーフにしています。野球を通して家族の情愛や人間の生き方の様々なかたちを描いており、短い文章できっちりメッセージを発信できるその技術は脱帽ものです。
ただ、本作品の底流にある価値観・世界観は、ある人にとってはすんなり受け入れられるものの、そうでない人にとっては強いアレルギー反応がありそうです。
独断で恐縮ですが、前者にあてはまりそうなのは以下のタイプです。?中学・高校の野球部といえば花形のイメージ、?日本のプロ野球(特に巨人・長嶋茂雄)が好き、?鬼監督・厳しい上下関係・女子マネの雑用もアリだと思う、?喫煙者である
一方後者のタイプは以下のタイプです。?野球部は部員不足で、運動神経のいい奴はサッカーかバスケ部に入っていた、?W杯・欧州サッカーや米国4大スポーツの方が好き、?体育会系は悪しき風習であり、改めるべきと思う、?嫌煙派(本作品は無遠慮にタバコを吸ったり、堂々とポイ捨てする人がたくさん出てきます)
残念ながら私は後者のタイプだったので(笑)、本作品に馴染めませんでしたが、作者の他の作品は読んでみたいと思います。
野球にのめりこんで
選手に気合を入れるために殴ったり、日本刀をつきつけたりする監督がいた。孫娘の夫が心臓病になるのだが、手術を控えた病室で「祈ったりしては負けだ」とはげます。しかし引退試合を終えた彼は、ふと見上げた月に祈るのだった。
野球にのめりこみすぎて人間らしさを喪った男が、ついには人間性を回復する話である。
受け月とはなにかを受けるような杯の形をした月だそうだ。朝帰りに受け月が見えるとしたら、東の空に下弦の月が見える。作品中は上弦の月となってるのは、誤植か。
野球大好き!男の哀愁
夏は、枝豆と、ビールと風鈴と、野球中継だ。
という人にお勧めの一冊。
人生いろいろある。
栄光や、輝きや、名声は、一瞬で、結局長い長い、それ以外の時があるのだ。
そんな苦しいときに、ふと、好きだった野球のことを思い出したり、
若いとき、すべてをかけて打ち込んだ野球のことを思い出したり、
肩を壊して、挫折して、ダメダメになっても捨てられなかった野球のことを思い出したり
野球好きだった、オバカな男のことを思い出したり
そしたら、心にちょっとだけ灯りがともったりするぜ。という、それぞれに、少し、野球が絡む短編集。
そのときどきで、気に入る話は違ってくるとは思うけど、今、私のお勧めは、ナイス・キャッチ。家族愛です。
それにしても、男の人の書く文章は、なんか微妙な威圧感がある。
おやじな男が読んだら絶対泣くと思う。絶対ね。
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