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沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)

沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)
沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)
山崎 豊子
参考価格 700円
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この商品の感想

残されたものの悲しみ
 航空機事故がいかに悲惨なものか、残されたものの悲しみは
いかに深いかを著者は切々と訴えている。
 アフリカ編会長室篇と異なり、御巣鷹山編は著者の被害者への
悲しみが深く伝わる本となっている。
 事実が持つ重みはおおきい。

おもいだした
日航ってこんな会社だった、こんな悲惨な事故があったとあらためて思い出させる作品。生存者がへリでつりあげられるシーンをちょうどテレビでリアルタイムで見た。
そのときには日航って労組が多くてごたごたしているという噂は聞いていた。生きているのが正直嫌になるときも生きているうちには何度かあるが、そういうとき、この本を読んで、生きたくても生きられなかった被害者の方々のことを思い、生きようといつも思う作品。

映画鑑賞の前に是非ご一読をお勧めします!
半官半民の傘の元、人権蹂躙や長年の放漫体質が生じさせた史上最悪の航空機事故、犠牲者・ご遺族の悲しみを、主人公の目を通して痛烈に批判した傑作です。人間一人の人生を一ページに無理やり凝縮させると仮定しても、520ページの本を読み通すには大変な忍耐が必要です。あれから四半世紀を過ぎようとしている今でも、事故原因については数々の疑問点があり、その生々しさにくさい物には蓋をするような疑惑さえ感じます。今回、本書が映画化されると聞き再度読み始めたところ、どこからか著者の山崎豊子氏が、完成した映画の試写会で感涙にむせび泣いたと聞き及びました。作者の泣くような映画なら自身も是非観てみたいと軽い気持ちで映画館に足を運んだのですが、著者同様憐憫と感動からか大粒の涙が頬を伝い暫く席を立てませんでした。あの時事故機を見ることが出来た場所に居住している自身にとって決して忘れられない事だったからかもしれません。本書にはその会社体質が事故に至る要因を長年にわたり醸造して行った過程が詳細に描かれています。少なくともその結果に至る一要因になったことは否定できません。それでもしぶとく生き残った半官半民会社でしたが、原油高騰とウイルスで倒産の憂き目を見るとは何とも皮肉なことです。是非全巻のご購読をお勧めします。

著者の並々ならぬ決意のようなものが伝わってきます。
第3巻は、全5巻のうち、前半2巻、後半2巻の間に、収められた御巣鷹山篇です。著者は、この小説は、事実に基づき小説として再構成したものである、と断っていますが、この巻は、一部実名を使用している旨明記されています。著者の並々ならぬ決意のようなものが伝わってきます。この巻は、恩地さんが主役ということではありません。あの史上最大の航空機事故にまつわる物語が墓標のように厳粛に語られてゆきます。空の安全を求めた労組委員長を外地勤務盥回しにするような企業が遂に招き入れたものがこの大惨事だった、ということでしょう。御巣鷹山事故の報道は長年に渡って行われていて記憶にとどまっていますが、この一冊を読むことで、それがどれ程のものであったかを改めて知ることになります。航空機事故の凄さといえるかもしれません。御遺族の方々とお世話係として働く国民航空の社員と恩地さん。その中に、部長職を放棄し、遺族の方々のお世話を続ける職員が登場します。遺族と接する人たちは、会社の責任を一身に負い誠心誠意尽くそうとしますが、権力の中枢にいる人たちは、責任の擦り合い、その場逃れを画策してゆきます。最近の鉄道事故でもそうでしたが、今も変わらぬ企業組織の姿が浮き彫りにされてゆきます。読み終えて深く感じましたのは、権力を手に入れた人たちのおぞましさの様なものです。経営の中枢にいる人たちは、当然、仕事もできるし、頭もよく、精一杯努力をした人たちでしょう。そんな人たちが、人としての配慮を忘れ、自社の責任逃れを優先させてゆきます。そこに何が潜んでいるのだろうか。権力は、既得権益のようなものでしょうから、一度つかんだ権益を絶対に手放したくないというエゴイズムが組織を腐敗させてゆくのでしょうか。経営の中枢になぜこういう人たちが集まってくるのか、それこそが著者の命題でもあったのではないか、と思いました。

映画が先か、本が先か、どちらでもだいじょうぶ
 昨日公開となった映画を見た。原作を読んでから映画を見るとがっかりするとよく言われるが、
よく出来た映画だった。だからと言って映画を見て筋を知ってしまうと本がおもしろくなくなる
かというとそういうこともない。むしろ3時間超と映画としては長いとはいえ、文庫本で5巻と
いう長い小説ではどうしても取捨選択してはしょわらずを得ないので、映画を見てから読むと映画
で描写できなかったディテールが分かり、面白さが増す。
 この本で扱った航空会社は政権交代もありほぼ公的資金注入が決まった。本と映画で描かれた
官的体質のゆえである。映画制作の構想・企画は政府による再生が明らかとなる前であったはずだ。
その時機を得た先見性には脱帽だが、10年も前にそれを見越したような予見を内包したこの本は
すばらしいという言葉を超越している。山崎豊子おそるべしとしか言いようがない。映画と本、
双方お勧めですが、映画にはハンカチが必携です。
 「白い巨塔」で育った者の読後感です。
by 左門 新
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