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二つの祖国〈下〉 (新潮文庫)

二つの祖国〈下〉 (新潮文庫) 山崎 豊子
二つの祖国〈下〉 (新潮文庫)
山崎 豊子
定価: ¥ 820
二つの祖国〈下〉 (新潮文庫)
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カスタマーレビュー

愛国心と人種差別
日本が白人系人種だったら原爆は投下されていただろうか?ベトナムが白人系人種だったら枯葉剤はまかれただろうか?答えは何れもノーだと思う。中世の戦争の多くは宗教戦争です。それに対して近代の戦争の多くは経済戦争です。その流れを作ったのは欧米によるアジアの植民地政策を推し進めた帝国主義です。これこそ明らかな侵略行為です。中国もインドもそのほかのアジア諸国の多くが欧米の侵略で骨抜きにされた歴史があります。日本はほかの欧米諸国に比べて国土が狭い反面、産業革命により人口が爆発的に増えましたため、欧米と同じ帝国主義に基づき植民地政策をとりました。それに対してその後に起きた世界経済不況の結果、突きつけられたのがABCD包囲網です。日本は戦争を売られたのであり、売ったのではありません。そして東京裁判は明らかに勝者による敗者への裁判であり、白人による黄色人種への裁判です。本書はアメリカに生まれた日系二世の二つの祖国に対する愛国心と忠誠心の葛藤を太平洋戦争と東京裁判という2つの大きな舞台を介して書き表しています。非常に考えさせられる内容です。平和ボケした黄色人種の日本の若者に是非とも読んでもらいたい本の一つです。

同じ「轍」を踏まぬためにも・・・・・
 小生は今まで、何故日本は米国と太平洋上で戦争行為をしなければならなかったのかーという問いに対しては、「インドネシアやフィリピンの原油や天然ゴムの獲得権を廻る衝突がエスカレートしたため」・・・くらいにしか考えていなかった。
 でも、少し違いましたね。日本と米国が戦った理由は・・・鍵を握るのはやはり「中国」だった!・・・・・米国は資本主義国のリーダーとして多くの人口を抱える中国を(当時は4億5千万人くらいか・・・)自国にとって最大のマーケットとして捉え多くのビジネスマンを中国に派遣していた。
 だが、中国でのビジネスは思うような成果が上がらなかった・・・・何故か?そこには日本のビジネスマンも参加していたからである。日本の技術者が作る「商品」の安い価格とその品質に米国人は競争する事が出来なかった・・・と言うのだ。
 ・・・・そこで、「憎い日本を叩き落してやろう!」と 「パナマ運河」の日本の使用を禁止、「スエズ運河」も通行禁止、石油、原油、航空用ガソリン、屑鉄を日本に手に入らなくしてやろう!・・・と画策した。(ちなみに米国はあのナチス・ドイツに対しては上記に上げた様な資源は全て輸出し、巨額の利益を手にしている・・・)
 歴史の裏舞台を詳しく見ていけば、米国は日本に対しとても「腹黒いやり方」で(合理的と言えばそれまでだが・・・)日本を窮地に追い込み、ジワリ、ジワリと日本が先に先制攻撃を仕掛けるまで、「紳士的な振り」をして待っていた・・というのが実情らしい。(そしてそうなった淵源は対中国貿易にあったというのだからわが国としては、2度と同じ轍を踏まぬ様な大局的な戦略が絶対に必要だと痛感する・・・)                                             

東京裁判から何を学ぶか
東京裁判の描写が長いため、疲れることは否めないが、検事、証人、被告たちの心理が描き分けられていたのがすごい。いわゆる「東京裁判史観」に浸かっている人は、ぜひ本書を読んでもういちど考えてみてほしい。表層的な裁判結果をすべてだと思わず、日本という国のために身を尽くしてきたのは、兵隊にとられた庶民だけではなかったことを。敗戦の責任を強く持って死に臨んだ東条大将をはじめとする被告たちは気高くさえあるが、それは決して小説的誇張でないことが、彼の残した文書や当時の記録でわかる。日本人としてこの歴史的事実から学ぶことは多々有る。

なお、本書の終盤は『白い巨塔』と同じでかなりハイスピードに片付けられた感じがある。期間内に小説を終わらせるという都合上、仕方ないかもしれないが。正義のヒーローであった主人公の賢治が、東京裁判をつぶさに見、かつ恋人を原爆で失い、心身ともにボロボロになっていく姿は痛ましいけれども、ラストシーンに至るまでの心情に説得力があり、本格的にハマれる小説であった。

愛国心、祖国、アイデンティティー
主人公の天羽賢治の体験、そして苦しみが、過去に帰国子女としてアメリカにも、そして帰国後は日本にも差別的なイジメを受けたことがある自分の体験と重なるものがあり、それが20年近くも昔のことなのにもかかわらず、その時の苦しさを思い出し、その時毎日のように自分に問い掛けていた言葉がふいに浮かびました。

「母国への愛国心、自分の祖国、そしてアイデンティティーとは何か。」
ただ単にいい本だったと評するには題材が複雑なだけにあまりにも軽すぎる。老若男女、一人でも多くの人に読んでもらい、歴史の陰にあった事実を知ってもらい、これからの未来に同じようなことが起こらないことを切に祈って止みません。

人間にとって、祖国とは?
父なる国アメリカと母なる国日本、祖国を二つ持った日系二世を描いた大作の最終部。
二つながら祖国として愛する主人公は、極東軍事裁判に関ることで、意志に反して
戦争の勝者・敗者に分かたれた国の狭間で押しつぶされて行く・・・

裁判で暴き出される歴史の裏表。信じていた両祖国の光と影。一人の人間の誠実では

どうにもならない歴史の残酷。祖国とともに分裂していく家族達。
誠実であればあろうとする程、主人公は二つの国の狭間で引き裂かれて行く。

ラストの主人公の血を吐くような言葉が重く心に響く。
主人公の壮絶な言葉に、我々も「祖国とは」という問を突き付けられるのだ。

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