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カラシニコフ I (朝日文庫)

カラシニコフ I (朝日文庫)
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この商品の感想

国際政治に興味のある学生さんは必読
本作は、朝日新聞の記者が、各地の内戦やクーデターで使用される自動小銃、
カラシニコフ(AK47、AKMなど)に着目し、その流通を追跡するという壮大なルポです。
第1部である本作で俎上に上げられるのは、
「失敗国家」≒指導者に統治の意欲と能力が欠如し、国民をないがしろにした国家、
の集合体ともいえるアフリカ大陸です。
 
冒頭のシエラレオネの少女兵のエピソードや残酷な仕打ちの数々に唖然とさせられます。
そして、ソマリア、ナイジェリア、南アフリカ共和国…。
著名な産油国、2010年サッカーW杯の開催国ですら、
信じられない汚職や犯罪、貧困に満ち溢れています。
そして失敗国家の失敗の陰には、常にシンプルで頑強なカラシニコフ銃が存在し、
そもそも、背景には、植民地時代、冷戦時代といった負の歴史の集積があります。

読み進めるうちに暗澹たる気持ちにさせられますが、希望もたしかにあります。
子供たちの教育への熱い思い、草の根の住民運動やNGO、
そして終章で詳細に語られる未承認国家、ソマリランド共和国の現状。
そのような希望をどのように育てていくか、我々に何かできることはないか。
思わず考えさせられずにはいられません。



アフリカの現状が良く分かります。世界観が変わります。
カラシニコフ銃をテーマの中心にすえつつ、アフリカの現状に迫った渾身のルポタージュです。(続巻"II"はアフリカ以外の話です)
【主要目次】
第1章 11歳の少女兵(主にシエラレオネの元少女兵に関する話)
第2章 設計者は語る(開発者カラシニコフへの直接取材)
第3章 護衛つきの町(無政府状態に陥ったソマリアの話)
第4章 失敗した国々(赤道ギニア・ソマリア・ナイジェリア・チャド・ザイールの話)
第5章 襲われた農場(南アフリカの話)
第6章 銃を抑え込む(未承認国「ソマリランド」の話)

「アフリカ・レポート−壊れる国、生きる人々」を読んでから本書を手にとりました。「内容重複が多いかも」と事前に思っていましたが、そうでもありませんでした。話の内容は、いかにも「ゴルゴ13」でも描かれそうな内容ですね(→特に「赤道ギニア」の国家転覆未遂に関する話)。第3章の「失敗国家の判定基準」(警官・兵士・教師への給料の支払い状況)について読むと、アフリカ以外でも存続の危うい「失敗国家」があることに気付きますね。(ほら、日本の近くにも... !)
意外だった第2章の内容です。カラシニコフの好々爺ぶりとAK銃を生み出す経緯は強く印象に残りました。第二次大戦でドイツの脅威に迫られてソ連を守るために開発したこと、それまでの銃設計の常識に挑戦したこと、など"目から鱗"な内容でした。重い内容が続きますが、最後のソマリランドの話に一縷の希望を見出す思いでした。
本書(I・II)を読むと「国家とは何か?」についても深く考えさせられますね。「国境線≠民族・部族の区分」から生じる悲劇について認識が深まると、世界各地で起きている悲劇も深く理解できるようになります。日本に住み慣れて「水と空気と安全はタダ」のように思っている人が本書を読むと、確実に世界観が変わるでしょうね。

オーセンティックな名著
カラシニコフという世界で最も多く作られ、恐らくは最も多くの兵士や市民、農民、子どもを殺した銃を通して、現在の「武器だらけの世界」を描いてみせる。カラシニコフ銃を語ってはいるが、主題は、いかに多くの内戦、内乱、政変がアフリカを中心として現在も続き、多くの人々が殺されているかを「平和ボケ」した日本人に突きつける。開発者カラシニコフ氏、武器商人、少年兵、被害者などに国境を越え丹念に取材するという、オーセンティックな「新聞ジャーナリズム」の伝統的手法は決して古臭くない。丹念な積み重ねの取材方法、筆力に脱帽。買いやすい文庫本になったのがうれしい(松本敏之)

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